メルコスールは、1991年3月結成の、単一市場、または関税同盟の結成を目標とする南米の地域統合グループです。
発足時から正式加盟国が増えたり、増えた国の参加資格が停止したり、パートナー国が複数あったりしています。
本記事では、そのオリジナルメンバーと追加メンバー、パートナー国について、まとめていきたいと思います。
結論的には、メルコスールの正式加盟国(メンバー国)はアルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイの4か国と、資格停止中のベネズエラの計5か国。その他の南米諸国(ボリビア、チリ、コロンビア、エクアドル、ペルー、ガイアナ、スリナム)は全てパートナー国です。
メルコスールのメンバー国とパートナー国
オリジナルメンバー
<アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイ、パラグアイ>
メルコスール(El Mercado Común del Sur(MERCOSUR))は、1991年のアスンシオン条約により始まり、その条約はアルゼンチン、ブラジル、ウルグアイ、パラグアイにより署名されました。
したがって、オリジナルメンバーはアルゼンチン、ブラジル、ウルグアイ、パラグアイの4カ国です。その中でも、メルコスール創設の歴史を見れば、アルゼンチンとブラジルが主要発起人であることと言えます。
なお、メルコスール創設の歴史に関しては以下の記事でまとめています。
追加メンバーとパートナー国
現在は、メンバー国(Estados Partes)としてベネズエラ、パートナー国(Países Asociados)としてボリビア、チリ、コロンビア、ペルー、エクアドル、ガイアナ、スリナムが加わっています。その中で、ベネズエラは全ての権利と義務が停止中、ボリビアは加盟国となるための議定書が署名済みで、加盟国の国内手続き完了待ち状態です(メルコスール公式HP)。
したがって、メルコスールの現在のメンバーは以下のようにまとめられます。
メンバー追加(拡大)の歴史は?
正式加盟国(メンバー国)の拡大
<ベネズエラ>
4か国で始まったメルコスールは、その最初の追加メンバーとして、ベネズエラ(2012年正式加盟)を加えます。
ベネズエラとメルコスール加盟については、以下の記事でまとめています。
<ボリビア>
次に、追加メンバーとして手続きを進めているのはボリビアです。
2015年に加盟議定書に署名がされ、現在加盟国(ブラジル)の国会承認(批准)待ち状態(未だ正式加盟国ではない)です。ボリビアは地理的にも貿易上もメルコスールとの結びつきが強い国であると言えます。
パートナー国の拡大
正式メンバーの手続きを踏んでいる前述の二カ国(ベネズエラおよびボリビア)のほかにも、パートナー国(Paises asociados。準加盟国ともいう。)としてチリ、コロンビア、エクアドル、ガイアナ、ペルー、スリナムの南米6カ国がメルコスールに関わっています。
これらパートナー国まで含めると、メルコスールは南米の全ての国を包摂していると言えます(フランスの一県である仏領ギアナは除く)。
加盟順と根拠条約は以下のとおりです。
・チリ:1996年、アルゼンチンにおける第10回メルコスール首脳会合において、メルコスールーチリ経済補完条約(Acuerdo de Complementación Económica Mercosur-Chile)に署名
・コロンビア、エクアドル、(ベネズエラ):2004年、経済補完条約(Acuerdo de Complementación Económica Mercosur-Colombia, Ecuador y Venezuela) (CMC Nº 59/04)
・ペルー:2005年、経済補完条約(Acuerdo de Complementación Económica N° 58)に署名。
・ガイアナ、スリナム:2013年、ウルグアイにおいて、パートナー枠組み合意(Acuerdo Marco de Asociación)に署名。
まとめ
メルコスールは、アルゼンチンとブラジルの関係強化の中で構想され、地理的にそれらの国の間に位置するウルグアイとパラグアイを加えた4カ国をオリジナルメンバーとして発足します。
その後、メンバー国としてベネズエラ(2012年)を迎えますが、2017年から同国は参加資格停止中、ボリビアはメンバー国としての加盟議定書が承認(2015年)されますが、現在加盟国(残るはブラジル)の国内手続き待ち状態です。
パートナー国として、チリ(1996年)、コロンビア・エクアドル(2004)、ペルー(2005年)、ガイアナ・スリナム(2013年)を迎え、全ての南米諸国を包摂しています。
メルコスールは、2010年代前半までベネズエラとボリビアの加盟に見られるメンバーの拡大を進めますが、ベネズエラの参加資格停止により、実質的な正式メンバーは発足時の4か国に戻っています。
ベネズエラ危機にも見られた流動的な政治情勢や、時としてコンセンサスを必要とするグループの運営上、しばらくは拡大傾向をお休みし、この4か国を基本として改めて域内自由化や対外共通関税などを考えていくことが、メルコスール統合の目的に照らせば、賢明であると思われ、メンバー国も(少なくとも今は)そのように考えるのではと思われます。
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