【メルコスール】域内への海外直接投資の推移は?

地域統合

メルコスールは、単一市場、関税同盟となることを目指し1991年に設立された南米の経済統合グループです。

本記事では、メルコスールの実質的成果(resultados reales)の一つとして、結成以降の加盟国への海外直接投資(Inversión Extranjera Directa(IED))の推移を見ていきたいと思います。

結論としては、1991年以降、多くの加盟国で海外直接投資の増加がみられます。(しかしながら、メルコスール結成とIED増加の因果関係を示せるほどの考察にはなっていません・・)

海外直接投資の推移

供給力が十分に強力でない開発途上国にとって、海外直接投資(Inversión Extranjera Directa(IED))は国内の雇用創出、技術移転などにとってとても重要な要素であるということは、広く受け入れられた考えです。

以下のグラフは、各加盟国に対する海外直接投資の推移を示しています。

【メルコスール加盟国への海外直接投資】(左:4か国 右:ウルグアイ・パラグアイのみ)

同グラフからは、メルコスール結成年(1991年)以降、全ての加盟国において海外直接投資が増加していることが伺えます。特に、ブラジル、ウルグアイにおいて、2000年代半ばからの上昇が目立っています。

なお、90年代半ばからの海外直接投資の増加は、ラテンアメリカ諸国、ひいては多くの開発途上国で広く見られる傾向です。グローバル化、自由化の進展により、90年代と比較すると2000年以降は投資額が大きく、その増減の幅も大きくなっています。

次に、GDPに対するIEDの比率の推移は、次のグラフに示されています。

【メルコスール加盟国のIED対GDP比(%)】

出典:世銀データを元に作成

ウルグアイとブラジルにおいて、1991年以降、その比率が高まっていることがわかり、特にウルグアイでは上昇傾向が継続しています。アルゼンチン、ブラジル、パラグアイには、90年代終わりブーム的な上昇があり、アルゼンチンとパラグアイでは、91年以下の水準となる年もみられます。

なお、2012年以降の投資額は、増減の幅は大きいものの、大きな流れとしては、ウルグアイ、ブラジル、アルゼンチンでは下降傾向、パラグアイでは上昇傾向が見られます。(世銀

主要投資国と主要投資セクター

『Informe MERCOSUR No.17』およびサンタンデール銀行の統計を引用したCEPAL(2012a)によれば、ブラジルのIEDの上昇は、主にヨーロッパ諸国(オランダ、スペイン、フランスなど) の投資によるもので、それにアジア(中国、日本など)や北米(米国、カナダ)が続いています。主な投資先セクターは手工業とサービス産業です。

アルゼンチンは、豊富な資源と高い発展レベルから、投資を呼び込んでいました。それは主にヨーロッパ(スペイン、オランダなど)や、米国、ブラジル、カナダからの投資で、主な投資先セクターは鉱業でした(Santandertrade.com、 CEPAL (2012a))。

ウルグアイに対する主要な投資はチリ企業による木材・セルロース製造加工工場の設立で、パラグアイに対する投資は主にサービス産業におけるものでした(CEPAL, 2012 a)。

まとめ

本記事では、1991年以降のメルコスール加盟国への海外直接投資の推移を見て行きました。

ウルグアイ、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイの順に、2012年に向けた投資額の上昇傾向は強くなっていました。ブラジル、アルゼンチンともに、オランダ、スペインなどのヨーロッパからの投資が大きくなっています。

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