南米の地理・地図の超わかりやすい覚え方【アイスクリーム・コーンに例える】

ラ米研究

本記事では、南米の地理・地図を超わかりやすく、ざっくり理解したいと思います。

そのために、南米を「アイスクリーム・コーン」に例えていきたいと思います。

南米の地理はアイスクリーム・コーンで理解

まず、アイスのコーン(逆三角形)の「左側に」、丸いアイスを乗っけましょう。アイスはコーンの左側に寄せていき、なんならちょっと左に溶け出して、垂れてしまっている状態を想像します。これが南米です。

これを、アイス(ピンク色)とコーン(茶色)で表現した地図は以下になります。

d-maps.comの白地図をもとに筆者が作成

アイス部分はかつての「大コロンビア」

まずはアイス部分を見ていきます。

アイス本体の中央部はコロンビア(左)とベネズエラ(右)

左に偏って傾いてるアイスの本体の真ん中左側がコロンビア(Colombia),中央右側がベネズエラ(Venezuela)です。

アイス本体の右側は非スペイン語圏の3か国・地域

次にアイスの右側ですが、ここにはガイアナ(Guyana)、スリナム(Suriname)、仏領ギアナ(Guyane française)の非スペイン語(スペイン語が公用語でない)3カ国・地域です。

これらの国・地域はコーンの大部分を占めるブラジルに乗っかってるイメージです。

アイス本体の左側はエクアドル・ペルー

次にアイスの左側ですが、中央部のコロンビアの左側にまずエクアドルがきます。アイスは左に傾いていて、アイスの丸い形を保っている(上を向いている)ギリギリのところにエクアドルがいるイメージです。

左に傾いたアイスの塊が、コーンにどろっと落ちかかっている、これがペルーです。

シモン・ボリバルの夢を一部叶えた「大コロンビア」

上記のアイス部分が、独立(解放)の英雄であるシモン・ボリバルの「ラテンアメリカを一つに」という夢を一部、また一時的に叶えたものとも言えるかつての「大コロンビア」に大体対応するイメージです。

大コロンビア

「大コロンビア(Gran Colombia)」(正式名称:コロンビア共和国)(1819-1831)はかつてコロンビア、ベネズエラ、エクアドル、パナマ、グアヤナ・エセキバ地域(ガイアナ西部で、ベネズエラが領有権を主張している地域。)およびブラジル、ペルー、ニカラグアの一部を抱えていた大きな国です。
10年ちょっと存続し、その後は考え方の違いで分裂し、概ね現在の国々に別れました(注:パナマはコロンビアの一部として分裂)。

溶けたアイスがコーン先端まで落ちるのがチリ

上記で、アイスが左にどろって溶け出した部分(ペルー)を見ていきました。アイスは溶け出したらどうなるでしょう?液体化してコーンを伝って下に落ちるますよね。

それがチリになります。チリはコーンの左側をつたって垂れているアイスです。実際、チリは南米大陸南部左側沿岸部(太平洋側)を細く這うような形状の国になっています。

落ちかかっているアイスと液体化したアイスの境目にいるボリビア

次にコーンを見ていきますが、ボリビアだけ個別に先に扱いたいと思います。

ボリビアは、左側に落ちかかってるアイス(ペルー)と、液体化したアイス(チリ)の間、この境目にいて、でもアイスがかかっていない内側(コーン部分)に位置します。

ちなみに、以下で別途扱いますが、ボリビアはもともと沿岸部の領土(海への出口)を持っていました。現在はチリが海への出口を蓋した形になっており、アイスはペルーからチリに接続します。

コーンの大部分はブラジルとアルゼンチン

最後にコーン部分を見ていきます。

まず、上部の大部分を占めるのがブラジルです。コーンは逆三角形で上部が大きいので、ブラジルの領土が最も大きくなります。

次に、コーン南部の大部分はアルゼンチンです。

上記のブラジルとアルゼンチンの間に位置するのが、パラグアイ(内陸側)とウルグアイ(沿岸部)です。ボリビアもブラジルとアルゼンチンの間に位置します。

なお、このコーンの部分が形成する南米の重要な経済圏がメルコスール(MERCOSUR)です。メルコスールはもともとブラジルとアルゼンチンが主導して、その間に位置する(したがって経済関係が密な)パラグアイとウルグアイも加わる形で創設(1991年)されたグループで、これに現在ボリビアも加わっています。

沿岸部を見ていくと

大体上記でイメージをつけていただいた上で、次に南米諸国の沿岸部を見ていきたいと思います。

大西洋側はアイスの右側とコーン右側

まずは太平洋側(東側・右側)を見ていきましょう。

先ほどのアイスの例えでいくと、大体アイスの右側と表現した国・地域(ベネズエラ、ガイアナ、スリナム、仏領ギアナ)が、上側をカリブ海・大西洋に向いています。

一応、コロンビアの一部(右側)もカリブ海を向いています。大西洋と太平洋を分けるパナマ地峡の位置するパナマはかつてコロンビアの一部であったことからも、コロンビアが大西洋側と太平洋側を向いた領土を有していることを理解できるかと思います。

そして、コーンの大部分(ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ)は、南大西洋側を向いています。

太平洋側はアイスの左側とアイスが垂れたチリ

次に太平洋側をみていきたいと思います。

まず、上記でアイスの左側と述べた国々、つまりコロンビア、エクアドル、ペルーがまず太平洋側を向いています。

そして、ペルーからアイスが垂れたようなチリが、広く太平洋に面しています。

なお、かつてボリビアは、ペルーとチリの間のような位置に沿岸部の領土(海への出口)を持っていました。これについては、以下の記事にてまとめていますので、要すればご参照ください。

ボリビア「海への出口」問題とは?【チリに対する粘着がヤバい】双方視点で見ていくことを試みる
本記事では、ボリビアの「海への出口」(Salida al mar)問題の背景、現在、そして今後の見通しについて、簡単に紹介していきます。独立後の両国の関係と、2度の戦争から、現在の両国が抱える問題を見て行きます。
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内陸国はボリビアとパラグアイ

南米、ひいてはアメリカ大陸全体で内陸国(海を持たない国)は、ボリビアとパラグアイの2カ国だけです。

海(港)を持たないというのは経済にとって大きなハンデであり、ボリビアとパラグアイは南米の最貧国1位・2位となっています。

まとめ

本記事では、南米をアイスクリーム・コーンに例えて理解しようとしてみました。

ポイントを改めてまとめますと、以下のように言うことができそうです。

●南米はコーンと、左側に傾いたアイスで理解できる。
●アイスは、右側はベネズエラ(中心部)→非スペイン語圏(ガイアナ→スリナム→仏領ギアナ)
左側は、ペルー←エクアドル←コロンビア(中心部)
●左に傾いて落ちそうなアイス(ペルー)から垂れてコーンの先まで伝っているのがチリ。ペルーとチリの間あたりのコーンに位置するのがボリビア。(ボリビアはかつて太平洋側の海を有していた。)
●コーンは、上部がブラジル、下部がアルゼンチン。その間に位置するのがウルグアイ、パラグアイ、ボリビア。

ちなみに、南米のことはスペイン語でも「Cono Sur(南のコーン)」というように形容されることもあります。アイスで例えたのはこれが唯一だと思いますが、その意味でもあながち的外れな例えでもないと言えるかと思います。

本記事が少しでも参考になれば幸いです。

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