ベネズエラの次にメルコスールへの正式加入を果たそうとしているのがボリビアです。
本記事では、ボリビアのメルコスールでの位置付けや、加入手続きの進展、経済関係などについて簡単に見て行きたいと思います。
ボリビアの位置付け
ボリビアは、長らく「南米で最も貧乏な国」とみなされてきました。しかしながら、ルイス・アルセ経済大臣(当時。現在の大統領)は、CEPAL(国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会。ECLAC)のデータを引用しつつ、ボリビアが2011年には「南米で最も貧乏な国」ではなくなったと述べ、現在は南米の中でパラグアイに次いで経済規模の小さい国となっています。
地理的には、ブラジルとアルゼンチンに挟まれた形で位置しており、この点はメルコスールの設立メンバーのウルグアイとパラグアイと同じで、メルコスールに加盟したいとの発想は自然であるように思えます。
ボリビアとメルコスールの貿易関係
ボリビアにとって、メルコスールとの経済関係は実質的に重要です。
まず、ボリビアは天然資源の輸出国としてしられ、メルコスールの平均値を超えるGDPの約70%を鉱物や天然ガスなどの輸出が占めています。
このように同国の経済にとって重要な貿易(輸出入)の30%以上が、長年、メルコスールに対するもの(ブラジルとアルゼンチンがメイン)であり、輸出に関しては時期によっては50%以上にも登ると言われています。
これは、ベネズエラのケース(対メルコスール輸出が全体の2%程度)とはかなり関係性が異なります。
メルコスール加入までの経緯と現在
2006年、ボリビア政府は、メルコスールへの加入のための手続きを開始することへの関心を表明しました。
その後、2015年に、CMCはボリビアのメルコスール加盟に関する議定書(Protocolo de Adhesión del Estado Plurinacional de Bolivia al MERCOSUR)を承認し、それによりボリビアをメルコスール関連法(アスンシオン条約や関連の補完議定書など)の中に取り込みました。
同議定書は、すべての加盟国の批准(国内の国会承認)を正式加入の条件としており、同議定書から7年が経過した2022年4月現在も、加盟国の国内手続きは完了しておらず、したがってボリビアはまだメルコスールの正式な加盟国ではありません(実際には、ブラジルのみの批准待ち状態が長年続いています。)。
ボリビアがメルコスールの正式な加盟国となり、同グループの全ての権利を享受し、義務を負うことになるのは、このプロセスが完了してからになります。ボリビアのルイス・アルセ大統領は、引き続き正式加盟への期待を表明しています。
まとめ
メルコスールの拡大のベネズエラに次ぐ2例目はボリビアで、ブラジル、アルゼンチンに挟まれた地理に位置する同国は、メルコスールとの貿易上の実質的な結びつきが強く、2015年にその加盟議定書の署名を得ます。
しかしながら、加盟国(ブラジル)の国内手続き待ちが続いており、現在も正式な加盟国のステータスは有していません。
すでに準加盟国のような形でメルコスールとの様々な関係を維持しているボリビアですが、引き続き正式加盟が期待されています。
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