経済統合の種類・段階とは?【バラッサの理論】わかりやすく紹介

地域統合

本記事では、経済統合の種類・段階について、最も有名なバラッサの理論をベースにしつつ、わかりやすく紹介します。

経済統合とは

第二次世界大戦を経て、世界はブロック経済や国家間の対話の欠如により大きな損失を受けることを理解しました。その結果、世界はグローバル化や自由貿易への歩みを加速させました。

経済統合という現象も、19世紀の中頃から進んでいきました。経済統合とは、モノ・サービスおよび生産的要素(人や資本)の自由な移動のための2か国以上の間の障壁(関税や貿易のためのその他の障壁)を廃止するプロセスです。つまり、それは特定の国の間または地域内の、さらなる自由な貿易を実現するための政治的な合意です。

経済統合の種類・段階(フェーズ)の分け方は著者によって様々存在しますが、本記事では、この種の議論で頻繁に引用されるバラッサ(1961)の理論を引用しようと思います。

経済統合の段階

1 自由貿易地域

経済統合の最初の段階は「自由貿易地域」です。「自由貿易地域」では、加盟国は既存の障壁のいくつかを撤廃することに合意しますが、非加盟国に対する「対外共通関税」は導入せず、非加盟国に対しては加盟国は各々独自の手段を設けます。

この段階は、二国間の自由貿易協定(FTA)の場合も、「ラテンアメリカ自由貿易連合(Asociación Latinoamericana de Libre Comercio (ALALC)」のような多国間(マルチ)の場合も含みます。

2 関税同盟

経済統合の2つ目の段階は「関税同盟」です。その段階においては、複数の国で構成されたグループは、関税の撤廃に加え、非加盟国に対する「対外共通関税」を設けます

メルコスール(MERCOSUR)は、この段階にあるとされています。

3 共同市場

一つの関税同盟が、貿易上の障壁のみでなく、労働者や資本などの生産要素の移動のための障壁を取り払うとき、その経済統合は「共通市場」と呼ばれる3つ目の段階に入ります。

具体例は、商品、人、サービス、資本の自由な移動の実現(1992年以降)を目的とした「単一欧州議定書」を結んだ欧州共同体(EC)が挙げられます。

4 経済同盟

複数国のグループが「共同市場」の条件を達成し、加盟国間でマクロ経済政策の協調を一定の水準で達成するとき、その経済統合は「経済同盟」の段階に進化します。

5 完全な経済統合

経済統合の最終段階は「完全な経済統合」と呼ばれ、そこでは各国間の経済政策の完璧な協調に加え、政治的調和も実現されています。

通貨同盟(経済・通貨同盟)

この段階分けに加え、「通貨同盟」も、経済統合の進んだ段階として認識されています。そこでは、ユーロ圏における「ユーロ」、あるいは「海外通貨発行機関(Institut d’émission d’Outre-Mer)」による「CFPフラン」のような、単一通貨が創設され、利用されます。

場合によっては、この「通貨同盟」と前述の第4段階(経済同盟)の概念を合わせて、「経済・通貨同盟」という用語を使うこともあります。

まとめ

本記事では、経済統合自体について簡潔に扱った上で、バラッサの理論に基づきつつ、経済統合の5段階+αを紹介しました。この記事が少しでも参考になれば幸いです。

参考文献

Bela A. Balassa (author) and R.D. Irwin (editor) (1961), The Theory of Economic Integration, Westport,Greenwood Press.

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